vol.40
日野の伝説その5 うなぎを喰わぬ人々

 多摩川ぞいに集落として発達した日野市四谷には、川にゆかりのある伝説や風習があるなかで、スタミナと栄養満点の「うなぎ」を喰わないという不思議な習慣が、今もなおあります。かつて鮎をはじめ川魚の宝庫であった多摩川で、たくさん魚取りをしても「うなぎ」にかぎってその場で、無罪放免といった具合に、何千何万の「うなぎ」が四谷の人々から命を救われてきた次第です。
 しかしチャッカリ組もあって、「俺ぁよ、四谷で"うなぎ"を貰ったもんだー」と、無罪放免の「うなぎ」をそのまま頂戴していた人の懐旧談を聞くことがあります。
 それでは、どうして「うなぎ」を喰わないようになったのでしょう。それは鎮守の日野宮の本尊が「うなぎ」だからとか、薬師堂(現在の四谷自治会館)に安置してある勢至菩薩(左写真)が「うなぎ」を召使いとしているからだとか、あるいは洪水の時に「うなぎ」が柵を組んで部落を守ってくれたからだとか諸説がありますが、古老にうかがってもはっきりしません。どうやら、四谷の鎮守の日野宮のご本尊が虚空蔵菩薩(本地仏)でありまして、その召使いが「うなぎ」であるからというのが、有力な伝説のようです。
 しかし、この本尊は専門家の鑑定によりますと、約700年前の作で、十一面観音像とのことです。いずれにせよ四谷の人々が「うなぎ」を喰わないといううことは続きそうです。


筆者:日野史談会提供
原稿:広報ひの昭和44年11月15日号より転載

本文添付画像の説明:原本掲載写真
『追加画像データ』
地図 日野宮神社
・JR日野駅下車徒歩
四谷地区の鎮守、日野宮神社。
 四谷自治会館(元の四谷阿弥陀堂)が平成5(1993)年10月に閉館したため、安置されていた三体の仏像はこの日野宮神社に遷座されています。 
 ○木造阿弥陀如来立像・・・室町時代、永生4(1517)年建立。平成9(1997)年修復。 
 ○木造阿弥陀如来座像・・・江戸時代 
 ○虚空菩薩立像・・・江戸時代。うなぎ伝承と縁があります。  
【2003.02】
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『参考資料・URL』
・広報ひの縮刷版 第100号〜第299号 昭和35年4月から昭和46年7月まで

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