| 日野の伝説その5 うなぎを喰わぬ人々
多摩川ぞいに集落として発達した日野市四谷には、川にゆかりのある伝説や風習があるなかで、スタミナと栄養満点の「うなぎ」を喰わないという不思議な習慣が、今もなおあります。かつて鮎をはじめ川魚の宝庫であった多摩川で、たくさん魚取りをしても「うなぎ」にかぎってその場で、無罪放免といった具合に、何千何万の「うなぎ」が四谷の人々から命を救われてきた次第です。
しかしチャッカリ組もあって、「俺ぁよ、四谷で"うなぎ"を貰ったもんだー」と、無罪放免の「うなぎ」をそのまま頂戴していた人の懐旧談を聞くことがあります。
それでは、どうして「うなぎ」を喰わないようになったのでしょう。それは鎮守の日野宮の本尊が「うなぎ」だからとか、薬師堂(現在の四谷自治会館)に安置してある勢至菩薩(左写真)が「うなぎ」を召使いとしているからだとか、あるいは洪水の時に「うなぎ」が柵を組んで部落を守ってくれたからだとか諸説がありますが、古老にうかがってもはっきりしません。どうやら、四谷の鎮守の日野宮のご本尊が虚空蔵菩薩(本地仏)でありまして、その召使いが「うなぎ」であるからというのが、有力な伝説のようです。
しかし、この本尊は専門家の鑑定によりますと、約700年前の作で、十一面観音像とのことです。いずれにせよ四谷の人々が「うなぎ」を喰わないといううことは続きそうです。
筆者:日野史談会提供
原稿:広報ひの昭和44年11月15日号より転載
本文添付画像の説明:原本掲載写真
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